神経調節性失神の予防に非常に有効とされる**「起立調節訓練(チルトトレーニング)」**について解説します。
この訓練の目的は、自律神経を「立ちっぱなしの状態」に少しずつ慣らし、過剰な反射(血圧低下)を起こしにくくすることにあります。
起立調節訓練(チルトトレーニング)のやり方
特別な道具は不要で、ご自宅の壁があればすぐに始められます。
1. 基本の姿勢
- 壁から15〜20cmほど離れて背を向けて立ちます。
- 後頭部、肩、お尻を軽く壁にあずけます。
- 足は動かさず、リラックスして立ち続けるのがポイントです。
2. 時間と頻度
- 目標: 1日1〜2回、最大20分間。
- 最初は5分程度から始め、数日かけて徐々に時間を延ばしていきます。
- 毎日継続することで、自律神経の「耐性」がつきます。
3. 注意事項(重要!)
- 安全第一: 訓練中に失神して倒れると危険です。必ず布団やクッションを周りに敷くか、ご家族がいる時に行ってください。
- 中止のサイン: 気分が悪くなったり、ふらつき、冷や汗、目の前が暗くなる感じ(前兆)があったら、すぐに中断して横になってください。無理は禁物です。
なぜこれで予防できるのか?
毎日一定時間、重力に逆らって立ち続ける刺激を脳に与えることで、**「下半身に血液が溜まっても、パニックを起こして血圧を下げすぎない」**ように自律神経を再教育(リハビリ)できるからです。
一般的に、1ヶ月ほど継続すると失神の回数が劇的に減るというデータもあります。
日常生活でできる「追加の対策」
トレーニング以外でも、以下の習慣を組み合わせるとより効果的です。
| 対策項目 | 具体的な内容 |
| 水分と塩分 | 医師から制限がなければ、1日2L程度の水分と、少し多めの塩分を摂り、血流量を増やします。 |
| 弾性ストッキング | 足を圧迫して、血液が下に溜まるのを物理的に防ぎます。 |
| 等尺性運動 | 「前兆」が来たときに、両手を組んで左右に引っ張り合う、または太ももに力を入れると血圧が維持されます。 |

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