神経調節性失神(VVS:Vasovagal Syncope)

神経調節性失神(VVS:Vasovagal Syncope)は、本来なら体を守るための自律神経の反射が、何らかのきっかけで「過剰」に反応してしまうことで起こります。

なぜ意識がなくなるのか、そのメカニズムをステップごとに解説します。

1. きっかけ(トリガー)の発生

強い痛み、恐怖、ストレス、長時間の立位(立ちっぱなし)などが刺激となります。特に立っている状態では、重力によって血液が下半身に溜まりやすくなります。

2. 自律神経の「誤作動」

脳が「心臓に戻ってくる血液が足りない!」と判断すると、一時的に心臓を激しく動かして補おうとします。しかし、この激しい動きが逆に心臓内のセンサー(受容体)を刺激し、「血圧が高すぎる」という誤った信号を脳に送ってしまいます。

3. ベツォルト・ヤーリッシュ反射の誘発

脳はこの誤信号を受け、血圧を下げるために自律神経をパニックに近い状態で切り替えます。

  • 副交感神経(迷走神経)の異常興奮: 心拍数を急激に下げます(徐脈)。
  • 交感神経の抑制: 血管を広げてしまい、血圧が急降下します。

4. 脳血流の低下と失神

心拍数が減り、血管が広がることで、重力に逆らって脳へ血液を送ることができなくなります。

  • 脳虚血: 脳への酸素と栄養の供給が一時的にストップします。
  • シャットダウン: 脳はダメージを防ぐための「緊急停止」として意識を失わせます。

これが、意識が遠のき、バタンと倒れてしまうメカニズムです。皮肉なことに、「倒れて横になる」ことで脳と心臓が同じ高さになり、脳に血液が戻りやすくなるため、多くの場合、数分以内に意識が回復します。

前兆を感じた時の対処法

「目の前が暗くなる」「冷や汗が出る」「気持ち悪い」といった前兆を感じたら、以下の行動が有効です。

  • すぐにしゃがむ・横になる: 脳への血流を確保します。
  • レッグクロス(足組み): 両足を交差させて力を入れることで、下半身の血液を上半身に押し戻します。

もし、頻繁に意識を失うようであれば、他の心疾患が隠れていないか一度循環器内科を受診することをお勧めします。

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