健康経営(Health and Productivity Management) とは、
「社員の健康を経営的な視点から捉え、組織の活力・生産性の向上につなげる経営手法」です。
簡単に言えば、
“社員の健康はコストではなく、会社の重要な資産である”
という考え方です。
⸻
背景
1. 労働人口の減少
日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口(15〜64歳)が減少しています。
限られた人材が長く健康で働き続けることが、企業の存続に関わる問題になっています。
2. 働き方改革とウェルビーイング
仕事と生活の調和(ワークライフバランス)やメンタルヘルスへの配慮が社会的に求められるようになりました。
3. 国の後押し
経済産業省と日本健康会議が「健康経営優良法人認定制度(ホワイト500など)」を開始(2016年)。
健康経営を行う企業は社会的に高い評価を受ける仕組みが整っています。
⸻
健康経営の主な内容
① 健康データの把握・分析
• 定期健康診断やストレスチェック結果の分析
• 生活習慣病リスクやメンタルヘルスの課題抽出
② 生活習慣の改善支援
• 運動習慣プログラム(ウォーキングキャンペーンなど)
• 禁煙サポート、栄養指導
• 睡眠改善やストレスマネジメント研修
③ 職場環境の整備
• 快適なオフィス環境
• 長時間労働の是正
• 在宅勤務やフレックス制の導入
④ メンタルヘルス対策
• 産業医やカウンセラーによる相談体制
• 管理職へのメンタルヘルス教育
⑤ 健康情報の活用と見える化
• 社員の健康スコアの定期的なフィードバック
• 経営層への健康経営指標の報告
実際の取り組み例
• 花王株式会社:社員食堂の健康メニューや運動プログラムを実施
• 味の素株式会社:「栄養×健康経営」を推進
• 東京海上日動:ストレスマネジメント研修の徹底
• 中小企業例:健康診断の受診率100%・再検査フォロー体制構築など
⸻
健康経営優良法人制度(経産省)
経済産業省が毎年「健康経営優良法人」を認定。
規模別に「大規模法人部門(ホワイト500)」と「中小規模法人部門」があります。
評価項目には次のようなものがあります:
• 経営理念・方針に「健康」を位置付けているか
• 健康課題の把握と対策
• 教育・啓発活動
• 組織体制と評価指標の整備
⸻
医師としての視点から
医療的にも、健康経営は「一次予防」の概念に基づいています。
つまり、「病気になってから治す」のではなく、「病気になる前に健康を守る」取り組みです。
特に以下の点が重要です:
• 健康診断後の フォローアップ(再検査率の向上)
• メンタル面への早期対応
• 産業医・保健師との連携
⸻
今後の展望
• AIによる健康データ分析と個別化支援(パーソナライズド健康経営)
• オンライン診療・遠隔健康相談の導入
• 社員の「ウェルビーイング(幸福感)」を重視する方向へ進化


コメント