健康診断の歴史は、時代や目的によって発展してきました。以下、主に日本と世界の主な流れをまとめます。
健康診断の歴史的背景
世界の動き
• 1861年、英国人医師ホラス・ドーベルが定期的検査と予防の重要性について講演集を発表。
• 1926年、イギリス・ロンドンで労働者とその家族を対象にした会員制健康診断施設が設立される。
日本のはじまり
• 江戸末期~明治期には、外国人医師が産業医として製鉄所などで従業員の診察にあたった記録がある。
• 慶応元年(1865年)、松本良順が新選組の構成員に健康診断を行った例が近代以前の先駆け。
法制度と検診の制度化
• 1911年「工場法」制定により、感染症(結核、赤痢など)予防を目的に健康診断が社会的に導入。
• 1947年、労働基準法に基づく健康診断が義務化される。
• 1972年、労働安全衛生法で労働者への健康診断項目が法定化。
検診方法・内容の発展
• 1954年、国立東京第一病院で6日間の短期入院による「人間ドック」(総合健康診断)開始。人間ドックという言葉もこの時期に定着。
• 1958年には1泊2日の短期人間ドックが登場。その後、1日健診など多様化。
• 検査項目も、当初の身長・体重・視力・聴力・胸部X線・血圧・尿検査から、1989年以降は血液検査や心電図、1998年にはHDLコレステロールや血糖、2007年には腹囲・LDLコレステロールが追加され、生活習慣病の予防にも重点が置かれています。
機器・技術の進歩
• CT、MRI、AIを用いた画像診断、デジタル化や内視鏡検査の進化など、診断技術も大きく発展しています。
まとめ
• 健康診断は19世紀中ごろから予防医学の重要な柱として世界で発展し、日本では明治以降法令を通じて産業労働者、学校、一般向けに広まりました。
• 1950年代からの「人間ドック」制の誕生により、体全体を包括的にチェックする予防医学の体制ができたことは日本の特徴です。
• 社会や疾病構造の変化、医療技術の進歩にあわせて、検診の目的・内容も時代とともに進化しています。
このように、日本の健康診断は法制度と医療技術の進歩に支えられて発展してきたことが分かります。
健康診断の歴史

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