腹部エコー(腹部超音波検査)によるがんの診断率について、主に消化器(肝臓など)、産婦人科のがん(子宮・卵巣)、前立腺がん、腎臓がんについての情報を以下に整理します。
腎臓がん
• 腎臓がんの発見率は検診によって異なりますが、一般的な腹部エコー検診では約0.01%程度のがん発見率があります。
• 精密検査を受けた患者さんの中では陽性反応的中度(がんである確率)は腎臓で約12.5%と比較的高い値と報告されています。
• 腎臓がんは症状が出る前に腹部エコーによって偶発的に見つかることが多く、早期発見に有効です。
• 実際の腎がん検診での発見率は約0.07%前後の報告もあります。
前立腺がん
• 腹部エコーで前立腺の形態異常はある程度評価できますが、前立腺がんの診断には触診やPSA血液検査、MRI検査が主に使われるため、腹部エコー単独での診断率は限られています。
• 腹部エコーは前立腺がんの疑いを持たせる所見は取れますが、確定診断は追加検査が必要です。
消化器がん(肝臓、胆のう、膵臓など)
• 腹部エコーは肝臓がんのスクリーニングに広く使われており、肝臓がん発見率は男女で約0.01~0.02%程度。
• 胆嚢・胆道のがんも検査可能で、胆嚢ポリープの発見やがんの早期診断に寄与します。
• 膵臓がんは腹部エコーで完全に描出できないことが多く、診断率は低め、CTやMRIがより有用とされます。
産婦人科のがん(子宮、卵巣)
• 腹部エコーは子宮と卵巣の形態や腫瘤の確認に使われますが、子宮体がんや卵巣がんの確定診断には細胞診やMRI等の追加検査が必要です。
• 腹部エコーでのがん検出率は病変の大きさや種類によるため一概には言えませんが、形態異常が認められた場合に追加検査を受けることが多いです。
総括
• 腹部エコーは腎臓がんや肝臓がんなどの消化器系がんの早期発見に比較的有効で、腎臓がんの検出率は約0.01~0.07%程度、陽性反応的中率は腎臓で12.5%報告されています。
• 前立腺や産婦人科のがんでは腹部エコーは診断補助的役割であり、確定診断のためには他の検査が重要です。
• 腹部エコーは非侵襲で安全な検査として健診でも多く使われていますが、がん診断の決定的手段ではなく、異常があれば精密検査を受けることが必要です。
腹部エコー(腹部超音波検査)

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